Know Your True Enemy

Quotes of The Day
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 彼女が喋りだしたとき、それはまるで誰かが彼女の子音をやすりで磨き、母音をふんわりと膨らませたかのようだった。彼女は飾らずに喋ったが、その言葉には力がこめられていた。
「娘たちの本来の敵は父たちや息子たちではない」と彼女は宣言した。
「わたしは間違っていた。
「女たちの敵は男ではない。
「そう、そして黒人の敵は白人ではない。資本主義者の敵は共産主義者ではなく、ホモセクシャルの敵はヘテロセクシャルではなく、ユダヤ人の敵はアラブ人ではなく、若者の敵は老人ではなく、都会人の敵は田舎者ではなく、メキシコ人チカーノの敵は英米人グリンゴではなく、そして女たちの敵は男たちではない。
「我々の敵はみな同じなのだ。
「敵は鈍感な精神による専制である。
「鈍感な精神をもった権威主義的な黒人がいれば、それは敵である。資本主義の指導者と共産主義の指導者は同じ人種であり、彼らはともに敵である。人間精神を抑圧しようとする鈍感な精神の女がいれば、それは敵である。鈍感な精神の男たちが敵であるのとまったく同じなのだ。
「敵はテクノロジーによる操作を押し進めようとするすべての技術者たちであり、敵は標準化を信奉するすべての者たちである。そして敵は標準化されるがままになっているすべての鈍感で怠惰で虚弱な犠牲者たちだ」

『カウガール・ブルース』トム・ロビンズ/上岡伸雄訳(集英社)

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