今では配信サービスの方が主流なので、レンタルショップは行く機会も少なくなったし、それに伴って店の数も減っていく一方ですな。
でも、たまに行くと結構面白かったりするものなのよ。
画像が並んでいる画面をスクロールして受け身で流し見しているだけより、積極的に自分の感性を研ぎ澄まして見たいものを選ぶことになるからか、思いがけない作品と出会えることがネット以上にある気がする。
『レディ・オア・ノット』を知ったのも、何の気なしに行ったレンタルショップでだった。
ジャケットのウェディングドレス姿で銃を構えている花嫁を見た瞬間、「こ・れ・は!」と脳内の鐘がじゃらんじゃらんとけたたましく鳴り響き、何の躊躇いも疑問も、もちろん作品の情報なんてまったく白紙のまま借りた。
肝心の内容はというと、
「もの凄い金持ち一族の息子とめでたく結ばれたヒロインのグレースが、結婚式の後、一族のしきたりだというくじを引く。そのくじで出た内容で、夜明けまで皆が遊ぶゲームを決めることになっている。グレースが引いたのは”かくれんぼ”。グレースはたかがかくれんぼだと甘く見ていたのだが、実はそれは”花嫁を狙った狩り”だった」
というもの。
一族の連中は先祖の言い伝え(これが元凶)を頑なに信じて(あんま信じてないヤツもいたけど)殺意むき出しで狙ってくるし、「どうせ金目当てでしょ」と周囲が見ている中、夫の母親は心から歓迎してくれて良い人そうに見えたのに、かくれんぼが進むうちに、
「お家のためぇぇぇぇぇぇっ!」
と容赦なく嫁を殺そうとしてきて、一体誰を信じりゃいいんだよ状態でグレースは逃げ回る。
それでも夫のアレックスが、愛するグレースをなんとか屋敷から逃げ出させてあげようと奮闘する。
名家の呪縛から解放してくれたグレースを守るために、家族を敵に回してでも彼女を助けようとしていたアレックスだったけど……。
と、後の詳しいことは見てのお楽しみということにしましてな。
こういう血みどろのバイオレンスな映画(一応ホラーに分類されている)は久しぶりに見たので、「血と暴力こそこの世の掟!」みたいな映画が大好物な私は大変満足いたしました。
また、純白のウェディングドレスと武器の組み合わせって、めちゃくちゃカッコいいと知ったので、自作で使おうと思いました(借用宣言か)。
でも、鑑賞後の味わいは少しビターな感触がある。
だって……ねえ?
生涯を誓った愛する人が、最期あんな選択をするとは思わないじゃん?
でもって、あんな風にみっともないとこ晒すなんて思わないじゃん?
愛は儚いものよ。
煙が目に沁みるぜ。
そして、そんな幻想に自分のすべてを委ねてしまうなんて、とても危険なことだわよ。
でも、そんな痛い思いをしたって、喉元過ぎればまた同じようなことをくり返してしまうものなんだけどさ。
ああ、万国の乙女たちよ、愛に目が眩んで自らのすべてを捧げる危険など、犯すこと勿れ……。

一番下で主役ぶった顔して弓を引いてる兄ちゃんは、ただの愉快なモブです。


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